私は分かっていなかった

日本で生まれ育った私。2011年から2020年まで日本に住んでいた私。東日本大地震の復興活動を岩手県陸前高田市と大船渡市で長年行った。いつだったかは覚えていない。日本に住んでいた間、大晦日に夫に、

「垢すりに行こうよ」と、言った事がある。

ちょうど夜中あたりに行くと今年の垢をなくしてもらって新年は綺麗な体でスタートしよう。自分でも「良いじゃん、それ」と満足する考え方だったので予約をした。行く前に思いついたのが私のタトゥー。刺青お断りで夜中に行ってから断れるよりは、行く前に電話しようと思いつき確認の電話を入れた。

断られた。

前から私は日本のタトゥーに関するルールをチャレンジしてきた。私の言い分はこれ。

 

私はアメリカ人女性。今年60歳。日本でタトゥーをしている人は一般的にヤクザ。これは分かっている。でも冷静に考えてもらいたい。外国人のタトゥーはヤクザには全く関係ない。

例をあげよう。私が山口組の事務所に行ってピンポンして、

「私、タトゥー入れてるので仲間に入れて下さい」と、言ったとする。帰ってくる回答が、

「お〜、ちょうどお前みたいな外人のやつが来るのを待ってたんだよ」と、言われる訳がない。私は外国人。そして女性。日本のヤクザになれる訳がない。子供タトゥーのシールをしてプールから追い出されるのも同じ。外国人の子供がヤクザになると思っているの?まじ?

 

2020年から2023年のニュージーランドの外務大臣はマオリ族の女性、ナナイア・マフタ大臣。顔にマオリ民族の伝統的なタトゥーをいれている。外国の外務大臣が日本のホテルの温泉に入ろうとしたとする。断るの?冷静に考えてもらいたい。ルールを守ってもらわなくてはいけないと必死に政府が強調している。オッケー。なら、マフタ大臣に関する外交のプロトコールはどうなるの?

いやでも進歩する社会。社会は変わっていく。国や文化がコントロール出来ない外からの影響を止める事は北朝鮮のようにネットで見られるものを制限するしかないのだ。外国人の数を減らしてもネットや映画、動画などで海外の情報が入ってくる。一番日本の文化を変えてきたのはハリウッドだろう。外国人が周りにいない方が良いと考えても海外の考え方も日本には関係ない?違うでしょう。

多少脱線。

垢すりを断れた事を最近思い出した。シアトルに韓国風スパがある。ここで垢すりをやってくれるらしい。垢すりを経験した事がない私は予約した。このスパには行った事がなくてどう言う感じなのか分からなかった。結局、女性専用だったので、みんな裸になり、温度が違うお風呂に入って体をほぐしてから垢すり。こう言うパターンだった。

ここで難しい事を言う。私は人前で裸になるのが嫌なのだ。日本で生まれ育った私は子供の時に家族で近くの銭湯に行った時から感じた事だ。時代は昭和50年代。当時は家族で経営していたのか、女湯と男湯の間の壁の前にはお婆ちゃん、お爺ちゃん、そして時には息子であろうか、若い男性がいた。見張り役なのだろうか。いや、母が座っていた人にお金を払っていた記憶がある。座っているお婆ちゃん、お爺ちゃんも若い男性は女湯の着替え場と男湯の着替え場が見える。

私はお爺ちゃんと息子の前で裸になるのが大嫌いだった。どうして女湯に入る女性は平気で男性の前で裸になれるのだろう。強烈に嫌だった。ここから人前で裸になるのが嫌になったのを覚えている。その直後、知らない男性の前で裸になるのはもう嫌だ、と、両親に家族風呂に連れて行ってもらった。母と私、父と弟と別々に入った。時間はかかったが見知らぬ人、特に見知らぬ男性の前で着替えなくても良い事が嬉しくて時間など全く気にしなかった。

シアトルの女性専用韓国風スパで白人以外の女性の裸を見た。日本での銭湯や温泉ではもちろん日本人女性の裸を見た事がある。初めてこのスパで「私は白人と日本人の裸しか見た事がない」と言う事実に気がついた。この事実に驚いた。大学時代の寮生活を思い出した。寮には黒人(ブラック)の女性、インド人の女性(ブラウン)、メキシカンの女性、エチオピアとコンゴの女性がいた。シャワーでいつも、

「ハ〜イ!」と、挨拶したのを覚えている。ただし、みんな体にタオルを巻いていたので実際には寮の女性の裸を見た事がなかったのだ。

韓国スパにいた女性は人種様々。ここで恥ずかしい事を話そう。更衣室で着替えていた時、近くに黒人(ブラック)の女性が着替え始めた。

私は、ブラックの女性の裸を見た事が今までなかったのだ。大学時代、ジム、病院、プールなど絶対どこかで見たであろうと必死に自分に言い聞かせたが全く記憶がない。

彼女の体はとにかく美しい。肌の色が濃いと言う事は非常に神秘的であった。バレないように時々彼女を見ていた。

反対側にペルーだろうか、アンディス系の顔をしている女性が二人来た。この日はブラック、ブラウン、アジア、中近東系、そして国籍や人種を見極めるのが難しい女性がいた。全員で100人くらいだっただろうか。どうしても見てしまうのだ。

 

私は女性達の違いをすくに見つけた。

年齢

人種

体重

タトゥー有り無し

主に、この4つの項目が目に入った。

タトゥーをして言うる女性は約半数。

年齢は中年上の女性が多かった。

体重は体の大きさによって差があった。体格が大きい女性はやはり脂肪がついている。体重のグラデーションが目立った。

人種は本当に様々。

やはり、私は白人に慣れているのだ。全く認めたくない事実。「慣れ」に甘えてしまったかもしれない。ここで初めて、

「もしかしたら」と、特に現在日本で目立つ反外国人運動に関して初めて共感出来るかもしれない、と思ったのだ。「慣れ」が「差別」になる意味が分かった感じがしたのだ。

「おいおい、それは違うでしょう」と、自分に言いかける。だが何もかも「普通」に合わせられているルールや法律、マナーや常識の裏には「みんな同じが『普通』であり、これからもそうであって欲しい」と、言う願いがあるのは分からない訳ではない。

アメリカの場合は移民を2025年と2026年に大勢追い出している。追放した人は大抵白人がやりたがらない仕事をしてくれている人だ。農家を手伝う人。りんご、あらゆるベリー、ブロッコリ、シトラス系の野菜と果物を収穫してくれている人は決して白人ではない。あまりにも大勢の人を強制出国させたので野菜も果物も畑でどんどん腐っていく。農家は困って必死に高校生、教会の友達などを雇おうとしたのだがこの様な肉体的に疲れる作業は誰もやりたがらない。結局ベリーは全部輸入品になってしまい、値段が「は?」と、思わせられるくらい上がった。

スパで初めて一度に多くの人種の女性の裸を見て人と人の違いに大きく揺さぶられた。アメリカは違って普通なのだ。だが、何故か違う人種の女性の裸を見て、

「『外国人を追い出そう運動』の考え方が分かるかも」と、思ってしまったのだ。自分でも理解出来ない。自分がこう思うなんて思ってもいなかった。そして、認めたくない。

アメリカはイギリスから独立してから意図的に外国人を誘致した。だから現在のアメリカがある。そして、アメリカは家から一歩出るとあらゆる人種に出会う。これがアメリカの普通。この普通に慣れていたと思っていたのが甘かった。やはり、人間は「自分と違う」人を見ると違和感があるのかもしれない。だから今の日本は思い切り外国人の存在を嫌がっているのだろう。「自分と違う」人がここまで多くなるが嫌だ。分からない訳ではない。ここがショック。私ってものの見方がもっと広い、大きい人だと思っていた。が、違う。私も、違う人種の女性の裸を見て初めて分かったのだ。私は完全に白人慣れ。日本人の裸をもう見る機会がないので意図的に白人だけにしぼって話す。

様々な人種の女性の裸を見ないようにして見ていた私。確かにびっくりした。人種の違いをここまで深く考えていなかった。一度や二度このスパに行っただけで私はもうびっくりしない。こう断言できない。でも、韓国エステには必ずまた行く。性的な根拠なく、私は大勢の人種の裸を見たい。見た事がない色の体の美しさに衝撃を受けた。「普通」と、言う考え方を変えさせられたユニークな経験だった。

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