仕返し、その1
昨日のポッドキャストをより深く説明します。
先週、ニューヨークのマンハッタンでアメリカの大手医療保険会社のC E Oが殺される事件がありました。C E Oは50歳の白人男性。犯人が昨日まで捕まらないと言う中、結局逮捕されたのですが若い男性で良い(大金持ち)家族の子。家族がいやで違う道を選んだらしいのですが、なぜ若い男性がC E Oを殺したか。ここがまだ不明確です。
とは言え、アメリカのメディアもソーシャルメディアも殺されたC E Oに対するコメントが絶えないのがとても衝撃的です。コメントと言うのは、「お悔やみ申し上げます」も、「残念」も、「可哀想に」と言う人があまりにも少ないのです。コメントのほとんどがこのC E Oを貶す、バカにする、「カルマだ」など圧倒的に彼を批判するコメントなのです。
「アメリカ人って冷たいな」と思う前にここ40年のアメリカの医療保険会社のシステムを説明します。40年前までは、医者が「この人はこのような治療が必要」と言ったら、保険会社はその金額を払っていました。当時のアメリカ大統領はレーガン。ピラミッドのトップがお金を持っていればいずれ下の人にもそのお金は流れていく。この制度を作り、保険会社に断る権限を与えたのです。
アメリカでは仕事を通して保険会社に入るのが普通です。でも、保険に入っているからと言って安い訳ではないのです。保険会社への費用が直接給料から引かれるので、「払ってる」と言う感覚がない。でも、保険にはしっかり入っている。
レーガン大統領のシステムは保険会社がどんどん儲けて患者が前よりもっと払う、と言う患者にとってはちっとも面白くない制度になってしまいました。この40年間、保険会社がカバーする(実際に払う)病気や治療はどんどん減ってきました。また、持病があればそれは患者が全額払う、と言う怖い制度にもなってきたのです。
どんどん断られる治療や薬。極端な黒字を出す保険会社。C E Oのボーナスも軽く数億円だったりするので、患者は嫌がるのです。これを変えたのがオバマ大統領。彼が、持病でもカバーする、申し込めば誰でも入れる保険制度を作りました。これをオバマケアとみんな読んでいました。正式にはA C Aと言うのですが、一般的に共和党に票を入れる人は今になって自分が入っているオバマケア、通称A C Aが同じだと今、気がつき始めたのです。
前回トランプが大統領だった時に、彼がA C Aを潰そうとしました。理由?トランプがオバマ大統領を個人的に嫌っているから。本当です。1票でキャンセルされなかったのですが、来年からはこの保険は消える。今度は潰せる。彼も私たちもみんなそう思っています。ちなみに、私も夫もA C Aに入っているので只今少し(?)パニック中です。
大手保険会社は患者の治療や薬のお金を払わないと言い続ける。人が死んでいく。インスタグラムにはある医者が殺されたC E Oの会社に出した手紙まで出回っています。癌の治療を受けている子供に吐き気を止める薬を必要と処方箋を出したのですが、これをこの大手会社は断るのです。
彼が殺された事によってこの会社の悪質な行為が表に出たのです。このC E Oが導入した制度が悪質だと言う事実です。制度というのは、A Iを使って医者のリクエスト(薬や治療や手術)をオッケーするかと言う事です。この制度は医者のリクエストを90%断る。会社はもっともっと儲かる。C E Oのボーナスも給料も上がる。そして、ある医者が書いたような手紙がこの断っている事実を明らかにする。
これが今のアメリカです。
C E Oを殺した若い男性の周りの誰かが治療を断られて亡くなった。こうとしか思えないのですが、これは単なる一人のC E Oに対する仕返しではなく、医療制度、そして保険制度に対する攻撃と考えて良いと思います。だからこそ、死んだC E Oに対して、「あら残念」と言う人がほぼゼロなの
アメリカの現地時間の昨夜に逮捕されたこの若者。どこまで彼への同情や共感が増すか。ここがここ数ヶ月先のアメリカの見どころです。
本当にバカバカしくて怖いアメリカの医療制度と保険制度。C E O達に一言。
いい加減にしろ〜!